男性が訪問葬儀を利用するのは2回目。14歳で旅立ったチワワのみゅんを実家の母親と送った。火葬の間中、男性は「そばにいてあげたい」と見守っていた(撮影/今村拓馬)
男性が訪問葬儀を利用するのは2回目。14歳で旅立ったチワワのみゅんを実家の母親と送った。火葬の間中、男性は「そばにいてあげたい」と見守っていた(撮影/今村拓馬)
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キャットPaPaのある常福寺(東京都世田谷区)の境内には、動物納骨堂「佛性苑」がある。写真は、個別の納骨スペース(撮影/今村拓馬)
キャットPaPaのある常福寺(東京都世田谷区)の境内には、動物納骨堂「佛性苑」がある。写真は、個別の納骨スペース(撮影/今村拓馬)
仏像の下の合同墓に納骨する合同埋葬プランもある(撮影/今村拓馬)
仏像の下の合同墓に納骨する合同埋葬プランもある(撮影/今村拓馬)

 いずれ必ずやってくるペットとの別れ。最近では、自宅からペットを送り出すことができるペットの訪問葬儀が人気になっている。しかしペット火葬を調べれば、いまだに10年前の悪徳業者伝説がネット上を席巻している。後悔しない別れのために、どうすればいいか。

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 30キロを超す愛犬の葬儀に訪問葬儀を利用したという女性(45)は、こう語る。

「大型犬は運ぶのも大変なので、家に来てくれて助かりました。骨を拾えたのもよかったです」

 だが、こうした声とは裏腹に、ネットで訪問葬儀を調べると、「悪徳業者」伝説に直面する。2007年に新聞が報じた、業者が数十万円の高額料金を請求し、「支払わなければ今すぐ焼却炉から出す」「遺骨を返さない」とすごんだ事件。10年、業者がペットの死体を山林に遺棄した事件。特に前者の「生焼け」事件の衝撃は大きく、さまざまなまとめサイトに転載され、ネットを席巻している。

 19年現在、実情はかなり異なる。国民生活センターによると、全国から寄せられるペット葬儀の相談に、ここ数年悪質なものは目立たない。あるのは「生後1週間のの火葬に1万円は、高いのでは」といったもの。体重ごとに料金を設定する業者が多いなか、「規約や説明を聞き理解していれば避けられるトラブルが多い」(同センター相談情報部)という。

 東京都の会社員男性(36)も2年前、愛犬たいがの葬儀の際、悪徳業者の噂に翻弄された。

「仕事柄ネットに明るいほうですが、『大丈夫だろうか』と不安になりました。実際依頼してみると、料金は明快で遺骨の取り違えも起こりようがない。悪臭や粉塵もなかった。火葬の間、スタッフさんも親身に話を聞いてくれて、気持ちの整理もつきました」(男性)

 満足度は非常に高く、今年、愛犬みゅんを送るときも、再び同じ業者に依頼した。

「ペットを飼っている親戚やご近所に訪問葬儀を紹介すると喜ばれました。まだ知らない人も多いでしょうから、もっと情報が広がってくれれば」(同)

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