俳優であり、監督もする。撮る側と撮られる側。その両輪はどう動いているのだろう。
「比較的、垣根を感じずにやっています。結局、やっていることの目的は同じだったりするんです。料理と一緒で『人に喜んでもらうものを作る』。それに関わる角度が違うだけです」
やりにくさはなく、むしろ逆。俳優としての経験が、監督としての自分にも加算されていく。
「やっぱり僕は他者と関わることが好きで、自分以外の『人』に興味があるんです。“自分以外の人の目に映り込む自分”にも興味があって、だから俳優をしているのかもしれない」
被災地などに映画を届ける移動映画館の活動にも精力的だ。
「自分は大きな神輿を担げるわけじゃないけれど、目の前のものを拾い上げ、それを遠くに届けることはできる。一人じゃなく、人と一緒にやることで、その動きが足し算、掛け算になっていく。そういうことが好きなんだと思います」
(文中敬称略)(ライター・中村千晶)
※AERA 2019年3月4日号