住吉酒販 東京ミッドタウン日比谷店/日本酒、焼酎、ワイン、上質な食品を取り揃える。日比谷駅直結で店舗と角打ちエリアがあり、ビジネスパーソンや買い物客で賑わう。1枚432円の花札を後払いで会計する/東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷B1F(撮影/写真部・加藤夏子)
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住吉酒販 東京ミッドタウン日比谷店/日本酒、焼酎、ワイン、上質な食品を取り揃える。日比谷駅直結で店舗と角打ちエリアがあり、ビジネスパーソンや買い物客で賑わう。1枚432円の花札を後払いで会計する/東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷B1F(撮影/写真部・加藤夏子)
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左上から時計回りにAKAYANE山椒の炭酸割(864円)、ハツとハツモト酒煮(432円)、蒸し土佐あかうし(1728円)(撮影/写真部・加藤夏子)</p>

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左上から時計回りにAKAYANE山椒の炭酸割(864円)、ハツとハツモト酒煮(432円)、蒸し土佐あかうし(1728円)(撮影/写真部・加藤夏子)
串の坊 六本木ヒルズ店/1950年創業の串揚げ専門店。約100種類の串揚げは、キャビアを合わせたものも。シャンパンやワインに加え、「山椒ハイボール」も最近の人気だ/東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズウェストウォーク5F(撮影/今村拓馬)
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串の坊 六本木ヒルズ店/1950年創業の串揚げ専門店。約100種類の串揚げは、キャビアを合わせたものも。シャンパンやワインに加え、「山椒ハイボール」も最近の人気だ/東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズウェストウォーク5F(撮影/今村拓馬)

「山椒ハイボール」をご存じだろうか? 焼酎ベースのクラフトスピリッツを炭酸で割ったもので、いま「食中酒」として熱い注目を浴びている。

【写真】じわじわとブームが来ているという「山椒ハイボール」がこちら

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 駅直結の角打ちは、「仕事帰りに気軽に立ち寄れる」と都心のビジネスパーソンに人気だ。店の常連という女性の二人連れも、仕事帰りのちょい飲みにすっかりハマった。この日は、各地の日本酒や焼酎のなかから、店長のおすすめを頼む。グラスに口をつけるや、表情がぱっと明るくなった。

「わっ、おいしい!」

 清涼な香りは山椒。炭酸で割ったこの酒は飲みやすく、サワーやハイボールとまた違う、澄んだ趣がある。まろやかだけど爽やか。何より、鼻をくすぐる香りに食欲をそそられる。箸が自然と進んでしまう。

 もうひと口、グラスに口をつける。やっぱり、おいしい。ほのかな甘みと馴染み深いふくよかな香りもある。

「なんですか、このお酒?」

「山椒をボタニカルに使った、国産のクラフトスピリッツです。芋焼酎がベースなんですよ」

と、女性に店長が説明する。

 クラフトスピリッツとは、原材料と製法にこだわってつくられた、手づくり志向の蒸留酒(スピリッツ)のことだ。

 透明の液体が揺らめくボトルには、「AKAYANE クラフトスピリッツ 山椒」とある。

 これを炭酸で割った「山椒ハイボール」が、いわゆるハイボールに代わる乾杯ドリンクや少し贅沢な食中酒として、飲食店や目利きたちの間で、いまじわじわとブームになりはじめているという。

 住吉酒販で取り扱いをはじめたのは、発売開始直後の2017年12月ごろ。「はじめて飲んだ時は衝撃を受けました」と同店の松窪一人さんは振り返る。

「スピリッツというと食後酒のイメージが強いですが、このお酒は炭酸で割るとどんな料理とも合う。料理の仕上げにスプレーでひと吹きすると、香りを楽しめます」

 串揚げの老舗・串の坊でも、昨年から山椒ハイボールを全店で提供している。同店の串揚げはバラエティーに富み、キャビアを使った串もあるため、シャンパンやワインとのマリアージュも人気だった。

「味わいが繊細で素晴らしい。山椒と揚げ物の相性はいいでしょう。ハイボールを注文するお客様には、『山椒ハイボール』もあることを説明しているのですが、飲めばすぐに違いがわかる。リピートするお客様がとても多いですね」(代表取締役社長・乾晴彦さん)

 ミシュランにも掲載された、東京都港区の焼鳥嘉とうは、ブルゴーニュワインや純米酒を豊富に取り揃えているが、山椒ハイボールもメニューに掲載、提供している。店主の加藤太一さんもこう語る。

「蒸留酒にはうま味成分が含まれず、アルコールが強いので、料理を味わいたいときには不向きかなと考えていました。けれども、これは飲んだ瞬間に合わせたい料理のイメージがパッと浮かぶ。焼き鳥と山椒の相性は抜群でしょう」

 酒が誕生した背景にはつくり手たちの物語もあるので、客との会話も弾むという。

 山椒ハイボール、取材も兼ねてもちろん記者も飲んでみた。ひと口目で、体に衝撃が走る。なんだコレは、あまりにおいしい。うなぎや焼き鳥が食べたくなるし、ゆっくり飲んでいたい気持ちになる。(編集部・澤志保)

AERA 2019年1月28日号より抜粋