PTAは、本来は任意参加なのに、強制的な自動入会が慣習化されていることが大きな問題になっている。埼玉県のある中学校のPTAは今年度から入会届を導入した。たかが紙一枚だと軽視されがちだが、自主的に参加するという意識づけや、参加しない自由があることを周知できる仕組みは不可欠だった。
このPTAの副会長の女性(41)が組織を変えたいと思い始めたのは2年前。役員として4月の委員決めを進行したところ、やっていない人に無理にやらせようとする保護者と対立した。
「こんな委員決めはもう嫌だ」
翌年度からは各クラスから委員を定数出す形をやめにした。
そして入会届を配布するという改革にも乗り出した。導入するには、校長の許可を得る必要がある。当初、校長は「今じゃなくても」と及び腰だったが、何度も説得した。さらに埼玉県教育委員会が学校管理職向けに、PTAを正しく運営するよう通知を出したため話が前進した。PTAを改革しようとする社会の空気も後押ししている。
女性はこう振り返る。
「問題点を全部改善できたわけではありません。反対する人にも正義があるし、長年やってきたという自負もある。こちらも一方的に主張するのではなく、協力してくれる人を巻き込みながら変えていきました」
(PTAジャーナリスト・大塚玲子)
※AERA 2018年12月10日号より抜粋