少子化の影響で、大学が厳しい戦いを強いられている。そんな中、私大の中には独自の取り組みで特色を出そうとするところも。AERAでは、早稲田、慶応、明治など、有力25私大を様々な指標でランキング化。ランキングをみていくと、女性教員の比率が他よりも高い大学がいくつか見受けられた。そのひとつが、上智大学。女性が活躍する背景には、どんな取り組みがあるのか。
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AERAが掲げたランキングで、女性教員比率が一番高かったのが上智大学だ。女子学生比率でもトップ。四谷キャンパスはおしゃれな女子学生が行き交い、華やかな雰囲気にあふれている。しかし同大は1913年に男子修道会が設立した男子校で、女子学生が入学したのは57年だった。
その後は一気に女子学生が増え、女性教員も増加する。女性支援にもいち早く着手し、2008年には四谷キャンパスに事業所内託児室を開設した。8時から20時まで開いており、教職員、学生も利用できる。17年からは支援を拡大し、同大で学会が開かれる際の「託児サービス補助制度」を導入。上智大の専任教員が主体となって開催する場合、他大学の研究者の子どもも預かっている。
09年には文部科学省の女性研究者支援モデル育成事業に採択され、大学の特色を活かした「グローバル社会に対応する女性研究者支援」を課題に掲げた。女性研究者が少ない理工系を対象に、海外で活躍する研究者をメンターとして大学院生とマッチングし、研究指導やキャリア相談を行うグローバル・メンター制度を実施。これら一連の取り組みが評価され、13年に文科省から、私立大として初のS評価を受けている。同メンター制度は理工系以外の分野へも広がり、現在は講演会や相談会などとして開催されている。
12年には研究支援員制度を始めた。出産、育児、介護を抱えた研究者に支援員を付け業務を軽減する取り組みで、週に6時間を上限とし、費用は大学が負担する。
「将来のある、若手研究者を応援したい。当初は女性を想定していましたが、育児を担う男性も対象としました。同じ研究分野の大学院生を補助に付けており、学生にとっても間近で研究者の生活を見ることができ、学生にとっても自分のワーク・ライフ・バランスを考えるきっかけになっているようです」(グローバル化推進担当副学長・杉村美紀教授・56)
男女共同参画推進室(現・ダイバーシティ推進室)の設立当初から携わってきた学生局の柳澤広美局長(54)は言う。
「理工学部の女性教員は明らかに増えましたね。また全体的に教員も職員も出産される方が増え、出産後も辞めずに復帰しています」
(ライター・柿崎明子)
※AERA 2018年11月5日号より抜粋