埼玉県に住む理系職の女性(39)は、過去の教科書が通用しないほど科学技術が進歩していると感じたときから、6歳と1歳の息子たちには「いつどうなっても自立して生きていけるように」と、自分で考え、選択する力をつけてもらうように意識して育ててきた。

 小学校1年生の長男は夏休みに学童でドラえもんを見てハマったようで、テレビを真剣に見ては、ドラえもんの「ひみつ道具」の工作に夢中だ。自宅には段ボールや新聞紙などの材料や道具を豊富に準備し、自由に工作できる環境をつくっている。先日は「ひらりマント」や「空気砲」を作って学童へ持っていった。受動的にテレビを見るだけでなく、能動的に活用してくれるなら親としても大歓迎だ。

 定番の遊びではなく、子どもが主体になって新たな物語を紡ぐ「ナラティブ」な体験を心がける。これまでに近所の川の源流探検などをしてきた。最近のヒットはカレールーの食べ比べ。

 子どもと一緒に、まず大きい鍋で肉や野菜を煮込み、それを三つの鍋に分けて、3種類のルーをそれぞれ混ぜる。味が違うね、会社ごとに工夫があるね、と話しながら、今後買うルーを選ぶ。スパイスが利いた値段の高いルーが美味しいと思ったが、息子はバーモントカレーを選んだ。まあ、それもいいか。

 ただ今春、上の子が公立小学校に入ると「みんな一緒」が強まった。10分間の休み時間さえ、「体力向上のために5分間校庭を走る」と決められている。

「横並びから逃れるのは、今の教育の中ではすごく難しい。でも親が子どもの“最適”を見つけていくしかない。外からの情報よりも、子どもの表情や言葉にちゃんと向き合うことが大事なんだと思います」

(編集部・深澤友紀)

AERA 2018年10月29日号より抜粋

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