買い物についてはスーパーや商店街に入ってみて、品ぞろえや価格なども見ておきたい。

 物件に着いたら、部屋を見る前にすることがある。

 すぐに目的の部屋に入るのではなく、まずは物件の周りを歩いてみよう。敷地内は整理整頓されているか、ゴミが散らばっていないかなどで管理状態の一端が分かる。

 建物の外壁にひび割れ、シミなどがないかも見ておきたい。随所にひび割れがあったり、タイルがはがれ落ちたりしているのが放置されているようでは、建物の構造面でも、管理の面でも心配だ。

 駐輪場・駐車場がきちんと整理されているかを見れば、物件の管理状態が推測できる。駐車場では、どんな車が止まっているかも見てみよう。居住者の生活水準などもある程度想像できるだろう。

 ゴミ置き場のゴミがまとめられているのかも要チェック。管理状態だけではなく、居住者のマナーなどを判断できる。

 エントランスホールやエレベーターホールの清掃状況も重要だ。管理員の良しあしだけではなく、その背後にある管理組合、管理会社の管理への考え方も推測できるからだ。

 管理員がいれば、業務の邪魔にならない範囲で、直接話を聞いてみよう。管理は巡回なのか、常駐なのか、土日はどうかなどを確認したい。

 あわせて、可能であれば長期修繕計画を見せてもらおう。当初の修繕計画が確実に実行されているのか、積立金は足りているのか、滞納はないかなどを確認する。管理員で対応できないこともあるので、その場合には仲介会社を通して管理会社に確認してみる。

 いよいよ専用部のチェック。玄関ドアを開けた瞬間の匂いはどうか。ペットやたばこなどのほか、各家庭独特の匂いがあり、それがきついと簡単にはとれないこともある。

 玄関ドアや建具は実際に開け閉めして問題はないか、スムーズに動くかどうかなどをみる。キッチンやユニットバスに水漏れはないか、各種住宅設備機器はきちんと動作するか。壁や天井にシミやひび割れなどはないか。見える部分だけでなく、押し入れがあれば開けてその中もくまなく確認する。家を買うのに、「やりすぎ」ということはないのだ。

 細かなことになるが、水道の蛇口にはレバーを上げると止まる「上げ止め」と、下げると止まる「下げ止め」がある。古いマンションにみられる「上げ止め」は、地震などでレバーにモノが落下すると水が流れっぱなしになるので、「下げ止め」のほうが安心だ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

※AERA 2018年10月22日号より抜粋