過去の日本代表では望んでも実現しなかった、素晴らしい対戦歴だ。しかし、世界4強入りを目指すなら比較の対象はライバルチームとなる。ワールドカップ日本大会の後、世界ランク10位以内のチームとの対戦数はオーストラリア代表ワラビーズの33試合を筆頭に、オールブラックスが29試合、日本が予選プールで対戦するイングランドは28試合、アルゼンチンは26試合だ。これに対して日本は9試合。絶対数の大きな違いは否めない。
もう一つ、4年前の日本代表と比べて大きな違いがある。それは、サンウルブズの不在だ。
サンウルブズは、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ3カ国のスーパークラブによる対抗戦「スーパーラグビー」に2016年から2020年まで日本から参加していたチーム。日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチやトニー・ブラウンコーチら代表スタッフが指導、選手選考するなど代表強化のシステムに組み込まれ、選手たちが強度の高い試合を経験する貴重な機会を提供していた。2019年にはこれに加えて、代表候補選手やサンウルブズの選手らで「ウルフパック」というチームも編成し、ニュージーランドやオーストラリアのスーパークラブの下部チームと対戦。こうして、選手や選手の組み合わせを試したり、選手のコンディションに応じた強度の試合を経験させたりすることができた。
しかし、フランス大会に向けた強化は日本代表の活動に集約される。現時点で発表されている日本代表の強化試合の予定は、オールブラックスに次ぐレベルのオールブラックスXVとの2試合とパシフィックネーションズシリーズの3試合、そして、ワールドカップ代表としてヨーロッパに渡った後のイタリア代表戦(8月26日、イタリア)だ。
オールブラックスXVとは、7月8日にジャパンXVとして東京・秩父宮ラグビー場で、7月15日には日本代表として熊本・えがお健康スタジアムで対戦する(ともにキャップ非対象試合)。同時期には、ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチン4カ国による対抗戦のラグビーチャンピオンシップが行われており、オールブラックスXVの選手たちにとっては、代表にステップアップするための貴重な最後の機会。それだけに「オールブラックスに次ぐレベル」と言っても、極めてタフな試合を覚悟する必要がある。