サイボウズ 江原なおみさん(47)/1993年、ソニー入社。海外営業やVAIOの業務を担当。2000年、夫の海外転勤に伴い退職し専業主婦に。2人の息子の子育てに専念し、13年、TOEICで満点取得。16年、サイボウズ入社(撮影/岸本絢)
サイボウズ 江原なおみさん(47)/1993年、ソニー入社。海外営業やVAIOの業務を担当。2000年、夫の海外転勤に伴い退職し専業主婦に。2人の息子の子育てに専念し、13年、TOEICで満点取得。16年、サイボウズ入社(撮影/岸本絢)
RPA女子プロジェクト 前田美智恵さん(41)/2000年、大学卒業後、商社系IT企業や監査法人系コンサルティングファームでSEやITコンサルタントを務める。31歳で結婚し夫の転勤先ブラジル・サンパウロへ。2児を出産。17年3月、帰国(撮影/写真部・小山幸佑)
RPA女子プロジェクト 前田美智恵さん(41)/2000年、大学卒業後、商社系IT企業や監査法人系コンサルティングファームでSEやITコンサルタントを務める。31歳で結婚し夫の転勤先ブラジル・サンパウロへ。2児を出産。17年3月、帰国(撮影/写真部・小山幸佑)

 子育てなどで仕事にブランクがあるハイスキルな専業主婦。人手不足を背景に、彼女たちを採用したい会社が増えている。かつては「時短」が壁だった。だがいま、再び働くためのさまざまな選択肢が出てきている。

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 主婦が仕事復帰にするにあたって、家庭と仕事がどの程度両立できるか見通せない、という不安があるが、そうした不安を解消する採用法も出てきている。16年間の専業主婦期間を経て、IT企業サイボウズに再就職した江原なおみさん(47)が活用したのは「キャリアママインターン」だ。

 江原さんは大学卒業後、ソニーに就職し海外営業などに従事。29歳のとき夫の海外転勤に伴い退社し専業主婦となった。2人の子育てに追われるなか、心境に変化が訪れたのは長男(16)が小学校に上がったときだ。江原さんは言う。

「次男はまだ幼稚園入園前で、『今日、私、大人とひと言も話していない……』と思う日がありました。社会と隔絶されている寂寥感と、この先40年近く続く人生に不安を覚えました」

 再就職を考えるも、仕事のブランクは10年ほど。売り込むスキルが必要と考え、TOEICに挑戦し、満点を取った。ところがTOEICのスキルを生かせる求人は、希望する「週3日の時短」ではなく「週5日のフルタイム」ばかり。やっと見つけた求人の面接では、「やる気が感じられない」と落とされた。

「面接の段になると、子どもたちは本当に大丈夫だろうか。余計な茨の道に踏み出すことにならないかと、次々と不安のループに陥り、それが消極的な態度となって出てしまったのだと思います」(江原さん)

 局面を変えたのは、16年にサイボウズが実施したキャリアママインターン制度。面接で希望の勤務時間などを聞かれ、それに沿って1カ月間インターンとして働いてみることができた。

「実際に働くことで、子どもの反応や自分の体力、家事との両立などのシミュレーションができ、不安材料をひとつひとつつぶしていくことができました」

 現在は9~17時、週5日勤務で1日は在宅勤務だ。今年5月、法務統制部に異動。大学は法学部だったので、就きたかった職種への夢がかなった。

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