街からも、ススキノを象徴するニッカの大看板からも灯が消えた=2018年9月6日午前4時20分、札幌市中央区
街からも、ススキノを象徴するニッカの大看板からも灯が消えた=2018年9月6日午前4時20分、札幌市中央区
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 北海道が闇に包まれた。道内ほぼ全域で電力が止まる「ブラックアウト」だ。6日に起きた最大震度7の地震は、大都市が電力を失う恐怖を浮き彫りにした。

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「ドーン」

 6日午前3時8分ごろ、北海道中央部の広い範囲を、下から突き上げるような衝撃が襲った。最大震度7。夜が明けると、激しい山崩れや倒壊した建物の映像に全国が息をのんだ。だが現地ではこのとき、未曽有の事態が始まっていた。北海道のほぼ全域、約295万戸の電力が一斉に止まる「ブラックアウト」が、日常をかき消した。

 JR北海道や札幌市営地下鉄は、始発から全面的に運休。札幌市に住む会社員の男性(36)は、普段は地下鉄通勤だが自転車で会社に向かった。エレベーターが動かず、19階まで階段を上った。ビルに設置されていた非常用電源でしばらく仕事ができたが、バッテリーが切れるため正午には退社した。

 日が暮れると、街は暗闇に包まれた。ススキノのネオンサインもこの日は輝かず。すぐ先も見通せない闇の中、行き交う人とぶつからないよう懐中電灯を手に歩く人も目立った。札幌に住む自営業の男性(33)は言う。

「人が歩いているのに真っ暗。事故があったのか救急車のサイレンだけが鳴り響いて、かなり不気味でした」

 多くの家庭が、電気を失ったまま夜を越した。6日夜、札幌市の主婦(44)に、8歳の長女と5歳になる次男が「怖い」と抱きついた。子どもたちが「一人でトイレに行けない」というので、家族5人で集まって寝たという。

 新千歳空港は6日、終日閉鎖された。都内の会社員、萩原耕一郎さん(38)は、1泊の札幌出張を終えて6日に帰京するつもりだったが、予約できた帰りの便は、3日後の9日。やむなく東京での仕事をキャンセルした。ビジネスホテルが停電のため予約を受け付けてくれず、その間の宿探しも一苦労。東京にいる彼女が心配して頻繁に電話をしてくるという。

「早く東京に帰りたいです」

●「域内全域」は初の事態

「極めてレアなケースだ」

 6日午後、札幌市の北海道電力本店で記者会見した真弓明彦社長は顔をこわばらせた。その会見場も、停電で薄暗いまま。電気事業連合会によると、大手電力会社のほぼ全域に及ぶ大規模停電は過去に例がないという。

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停電が拡大したワケ