現役復帰を表明した高橋大輔。かつてのような、芸術性豊かな演技をファンは楽しみにしている (c)朝日新聞社
現役復帰を表明した高橋大輔。かつてのような、芸術性豊かな演技をファンは楽しみにしている (c)朝日新聞社

 フィギュアスケートファンにまた新たな楽しみが増えた。高橋大輔が現役復帰を表明したからだ。強豪ひしめく日本男子フィギュアスケート界で、高橋は活躍できるか。

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“大ちゃん”こと高橋大輔(32)ファンに7月1日、朗報が届いた。高橋がブログで現役復帰を発表。会見で高橋は語った。

「昨年12月の全日本選手権で、五輪に向けて戦う選手たちの姿や、それぞれの思いや目標を持っている姿を見て感動して、実況中継の最中にこの舞台に立ちたいと決めていました。ソチ五輪の後の世界選手権に出場できなくて、自分はまだ次に行き切れてなかった、と感じました」

 日本のフィギュアスケート人気をつくり上げた元祖エースの復帰である。

 ただ、高橋はどこまで復活できるのか。20代前半がピークと言われるフィギュアスケートの世界で32歳はかなりのベテランだ。4年のブランクも大きい。高橋は引退後、ダンスや米国留学などスケートから離れた生活だった。長い時間を経てトップ選手が競技復帰する国内唯一の例は、4年のプロ生活後に復帰した伊藤みどりだ。伊藤は語る。

「やはり競技でしか得られない緊張感、達成感というものが、自分の次の人生へのパワーとして必要になったのでしょう。いろいろな仕事をやってみたけどやはり自分にはスケートなんだという人生観。共感できます」

 高橋にとって追い風はルール改正だ。実は平昌五輪後の改正はここ14年のなかで最も大きい。

 まず男子フリーの演技時間は4分30秒から4分になり、ジャンプは8本から7本に減った。しかも4回転ジャンプで同じ種類を2本跳ぶことは1度に制限された。つまり平昌五輪での「2種類の4回転を2本ずつ」(羽生)や「4種類で計6本」(ネイサン・チェン)の組み合わせはできなくなり、今季はトップ選手らが4回転の本数を減らす可能性が高い。

 またジャンプの出来栄えに対する加減点が7段階から11段階になり、「どんな種類のジャンプを跳んだか」よりも「どれだけ高い質で成功したか」が得点を左右することになった。

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