「このルール改正は芸術系にシフトしたと言えます。昨季までの4回転競争に高橋君がついていくのは大変でも、今季は自分の味を出せるかが勝負」(伊藤)

 男子フィギュアと言えば、平昌五輪で金メダルを獲得した羽生結弦と、銀メダルを獲得した宇野昌磨がいる。3人の対決は12月の全日本選手権になるだろう。高橋は語る。

「30歳を超えてもこれだけ成長できるという姿を見せられるスケーターになっていたい。(メダリストの2人に)正直、勝てる気は一切していないです。思い切り食らいついていきたい」

 対決については謙虚な姿勢を貫く。注目すべきはその芸術性。

「将来的にはパフォーマーとして生きていきたい。勝つためではなく、自分のスケートと向き合うためにやります」

 高橋の第二章は、誰も開拓したことのない芸術的限界を探る挑戦になりそうだ。(文中敬称略)

(ライター・野口美恵)

※AERA 2018年7月16日号