その町田と同じ「堅守速攻」の戦い方で結果を出しているのが、今季がJ2昇格3シーズン目となる秋田だ。過去2シーズンは13位、12位という成績だったが、現在10試合を終えて勝点18(5勝3分2敗、8得点5失点)の4位。就任1年目にチームをJ3優勝に導き、これまで数々の「名言」、「語録」を披露しながら縦に速いサッカーを徹底してきた吉田謙監督の下、選手が大幅に入れ替わった中でも、愚直に走り、最後の1秒まで諦めない姿勢を貫き、堂々たる戦いぶりを披露。全試合1点差以内という接戦の中でしぶとさを見せて勝点を掴み取り、町田とともに序盤のサプライズとなっている。

 1位の町田、4位の秋田の他にも、戦力補強に成功した昨季11位の長崎が勝点17(5勝2分3敗、13得点8失点)の5位につけ、昨季20位で辛うじてJ2残留を決めた群馬も同じく勝点17(5勝2分3敗、12得点10失点)の6位と期待以上の戦い。さらにJ3から昇格した藤枝も8位(5勝1分4敗、18得点15失点)と健闘するなど、J1初昇格を目指す「新興勢力」が上位につけているのが今季のJ2序盤戦の特徴だと言える。その一方で、J1経験組も今季は期待の持てる戦いを続けており、特に大分はオフに主力流出が目立った中でも攻守に質の高いサッカーを見せ、勝点22(7勝1分2敗、15得点11失点)の2位と好発進。15年連続J2の東京Vも、城福浩監督の下で全員がハードワークする強度の高いサッカーを身に付け、勝点19(6勝1分3敗、15得点5失点)の3位と好位置に付けている。

 前評判の低かった、あるいはそれほど高くなかったチームが好発進を決めた反面、清水、磐田のJ1からの降格組の出遅れも序盤戦の大きなトピックだ。磐田は開幕5試合を岡山(●2-3)、山口(△1-1)、山形(○2-1)、大宮(●0-1)、清水(△2-2)で1勝2分2敗。清水にいたっては、開幕7試合を水戸(△0-0)、岡山(△0-0)、長崎(△1-1)、大分(△0-0-)、磐田(△2-2)、群馬(●1-3)、甲府(●0-1)で5分2敗と白星がなかった。

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「オリジナル10」がJ3降格も?