開幕から2カ月が経った。J1では早くも波乱が続出しているが、それ以上に多くの者にとって“サプライズ”の序盤戦となっているのがJ2リーグ戦だ。全チームが42試合中10試合を終えた現時点で、前評判を大きく上回る好発進を決めたチームがある一方、思わぬ苦戦を強いられているチームもある。
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現在、単独首位に立っているのは、昨季15位だった町田だ。ここまで10試合で勝点23(7勝2分1敗、16得点4失点)。開幕戦の仙台戦(△0-0)の後、第2節から群馬(○2-0)、金沢(○2-1)、水戸(○3-0)、山形(○3-0)、いわき(○1-0)、藤枝(○1-0)と破竹の6連勝。第8節の秋田(●0対1)、第9節の磐田(△1-1)との試合では足踏みしたが、“頂上決戦”となった第10節の大分戦に勝利(○3-1)して首位返り咲き。青森山田高校からJクラブの指揮を執ることになった“異色の”黒田剛新監督、さらに選手も半数以上が入れ替わったことでチームの成熟には時間を要すると思われていたが、予想を遥かに上回る仕上がりと完成度を披露。懐疑論を吹き飛ばし、「所詮は高校サッカー」というアンチも黙らせながら白星を重ねている。
目立つのは、組織的なプレッシングからのショートカウンターだ。今季の10試合でボール支配率、パス総本数ともに相手を上回ったのは3試合(仙台、いわき、秋田戦)のみで、その3試合の成績は1勝1分1敗。その一方で、今季3得点を奪って快勝した3試合(水戸、山形、大分戦)のボール支配率は、41%、39%、30%という低さ。固いブロックで相手の攻撃を跳ね返し、ボールを奪ってから素早い攻撃で得点を量産。特に新加入のブラジル人FWエリキのスピードに乗ったドリブルと裏への抜け出し、シュートセンスが大きな武器となっている。今後、他チームからマークされる立場になった中で、どこまで現在の戦い方を維持できるか。意図的にボールを握らされた時、リトリートされた守備をどうやって崩すか。デザインされたセットプレー以外にも、チームとしての引き出しの多さが問われることになる。