3試合に先発してセ・リーグトップの防御率0.47──。3年連続7回目の開幕投手を務めたヤクルトの小川泰弘(32歳)が、ここまで安定したピッチングを続けている。
3月31日の広島戦(神宮)は7回を投げて3安打、無失点で、自身2度目の開幕戦白星。続く4月7日の阪神戦(甲子園)は雨の中、初回に不運な三塁打をきっかけに1点を失うも、その後は1本もヒットを許さず、7回の攻撃で代打を送られるまで追加点を与えなかった(小川には勝敗付かず)。
同じように雨が降りしきる中でのゲームとなった4月14日の広島戦(マツダ)では6回に自らのエラーでピンチを広げて1点を失い、これが決勝点となって今季初黒星を喫したが、この試合も6回1失点(自責点0)。3試合とも、しっかりと先発の役割を果たしている。
小川は昨年もほぼシーズンを通して先発ローテーションを守り、チームではただ1人、規定投球回に到達した。先発25試合中クオリティスタート(6イニング以上を投げて自責点3以下)15試合、QS率60%はいずれもチームトップ。圧巻だったのはマジック11を再点灯させた9月11日からの3試合で、いずれもチームに1対0の勝利をもたらしている。11日のDeNA戦(横浜)では自ら決勝タイムリーを放ち、25日の同カード(神宮)は自身に勝ちは付かなかったものの6回無失点で、劇的なサヨナラ勝ちによる優勝決定につなげた。
ヤクルトはその前年、20年ぶりの日本一に上りつめながらも、レギュラーシーズンでは2ケタ勝利、規定投球回ともにゼロ。昨年も「エースなき投手陣」と言われながら、小川は春季キャンプで臨時コーチを務めた古田敦也元監督の「チームがここぞというところで勝ってくれる、そういう働きをするのがエースだ」との言葉を胸に己を奮い立たせ、大事な勝負どころで粘り強く勝利を引き寄せた。
今シーズンは代名詞ともいえる「ライアン投法」を、開幕直前になって“復活”させた。セットポジションから左脚を顔の辺りまでグイっと高く上げ、そこからタメをつくるようにゆっくりと脚を下ろしながら、真上から投げ込む──。この独特の投球フォームのルーツは、大学3年の夏に遡る。