障害のある子が過ごす「放課後デイ」。今年4月に報酬改定がおこなわれ、大幅減収の事業者が続出。保護者からも不安の声が上がっている。
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「職員の給与をカットしなければならない」「事業所を閉鎖せざるを得なくなった」「事業所がなくなればうちの子をどこに預ければいいのか……」
現場から悲鳴が上がっている。今年4月以降、こんな状況が生まれているのが、障害のある子どもたちが放課後や長期休暇中に通う「放課後等デイサービス(放課後デイ)」だ。
福祉サービスの事業報酬が4月に見直され、大幅減収によって存続の危機に直面する事業所も出てきている。今回の改定は、利潤だけを追求した質の低い事業所が増えているという批判などに対応したものだったが、減収によって手厚いケアを行っていた事業所までが苦境に立たされるという本末転倒な状況だ。
放課後デイとは、障害のある子どもの発達支援や居場所づくりを目的に、小学生から高校生までの児童・生徒が通う施設だ。障害があると、健常児のように学校で約束して自ら遊びに行くことが難しく、学童保育や習い事にも受け入れてもらえないこともあり、放課後を過ごす場所に悩む場合が少なくない。保護者らが対策を国に求め、2012年度に放課後デイが児童福祉法で制度化された。
東京都江東区の放課後デイ「まつぼっくり」。知的障害のある高校生たち10人と職員7人が車座になり、職員のひとりが呼びかける。「みんなで何をしようか」。意見が出なかったため、職員が女子生徒を指名すると「貨物列車!」と元気な声が。次に指名された生徒も「貨物列車」と言い、みんなで立ち上がり遊び始めた。児童発達支援管理責任者の田中祐子さんは言う。
「自分たちで予定を考え、話し合って決めていくことも大切にしています」
みんなでメニューを考えて買い物に行き、調理して夕食を食べて片づけをする日もある。過去にはスケジュール通りに進まないとイライラしてしまう自閉症の男の子もいたが、「予定と違っても楽しそう」と少しずつ柔軟に受け入れられるようになっていったという。