親亡き後、きょうだいが一人になって、頼れる身内が自分しかいなくなったら……。(※写真はイメージ 撮影/馬場岳人)
親亡き後、きょうだいが一人になって、頼れる身内が自分しかいなくなったら……。(※写真はイメージ 撮影/馬場岳人)

 NHKの特集で話題となった「アラフォー・クライシス」。“不遇の世代”と呼ばれるアラフォー世代が抱える問題は、まさに現代日本が抱える闇に他ならない……。自立できず、親元から離れられない同世代のきょうだいのことを案じる40代もいるだろう。朝日新書『きょうだいリスク』に登場した47歳女性のケースを紹介し、この問題を考える。

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【ケース】親元から離れられない姉が心配な藤田さん(仮名)・女性

 藤田さん(47)は、フルタイムの仕事をしながら小中学生の子ども3人を育てる女性だ。先立つ不安は、姉(50)の将来なのだという。

「姉がニート。将来面倒をみるのはやっぱり私なのかなと、ぼんやりと思っています」

 姉は、藤田さんの自宅からは車で1時間ほどの距離にある実家に住んでいる。独身で、ほぼ無業。かつては仕事についていた時期もあった。だが30代で退職し、その後は働いたとしても、時々不定期のアルバイト仕事をする程度だ。友人と出かけることもあるが、特に趣味はないようだ。

 藤田さんはあまり実家に立ち寄らないため、最近の事情はよくわからないが、姉は自分の洋服の洗濯や部屋の掃除ぐらいはしているはずだという。ただ、料理をするのはもっぱら母(74)の役目である。

 父は80歳を超えたが、年金も、大手企業に勤めていた頃の蓄えもある。経済的には姉一人を養えるだけの余裕がある。そんな父も、姉のことが気がかりなのだろう。自分たちの亡き後に姉が暮らしやすいよう、マンションを購入した。庇護されて育ってきた姉一人では、一軒家の実家を維持しきれなくなることを予測してのことに違いない。さらに、姉の生活費としてのお金も残すと藤田さんに伝えているという。

 それでも、藤田さんの不安はぬぐえない。

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