
『ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番 世界トップ1%の資産防』は、富裕層の人々の資産管理についてつづられた一冊。八重洲ブックセンターの書店員・川原敏治さんは、同書の魅力を次のように寄せる。
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世界の人口の1%に満たない人々が、世界の富の41%を有する時代。そんな一部の富裕層の資産管理を行うのが「ウェルス・マネジャー」だ。著者自らウェルス・マネジャーの資格を取得。8年もの取材期間を経て本書を執筆した。
ウェルス・マネジャーは、資産を増やすというよりも守り、子孫へとつなげていく役割が大きい。信託、財団、オフショア法人などを活用し、法制度や課税から身をかわし、親族間の相続や離婚問題などにも対応する。時には富の集中を妨げる法律の制定を食い止めようとし、資産を減らすあらゆる原因に対処していく。
そんな彼らの活躍で、富の集中と固定化は加速。税収減のため、国の政策が制約されるなど政治経済に与える影響も大きい。本書はウェルス・マネジャーの存在や手法を知るのに、もってこいの書と言えるだろう。
※AERA 2018年5月21日号