記者:海外からお客さんも来ていますが、海外の方へのメッセージと、改めて東北・仙台の魅力を羽生さんの口から伝えてください。
羽生:僕自身カナダに拠点を移して、カナダに飛行機で行く時は東京を経由して行くことになるので、東京とか大阪とか都市部と比べても、仙台はすごく都会だなと思うところもありつつ、その中に緑が共存していて、そういったところは仙台にしかない空気感だと思います。また、仙台だからこそ感じられる温かさとか、空気の良さとか、そういったものをぜひ感じていただきたいなと思います。また、東北全体に関して、仙台ももちろんそうなんですけど、まだまだ復興が足止め状態になっているところもあります。津波で流されてしまったものとか、たくさんあるかもしれないんですけど、それをきっかけに新しく復活している施設とか、新しくなった駅とかもあるので、ぜひ立ち上がっているところ、もちろん、作り続けているところも見てほしいと思うんです。実際に立ち上がって新しくなった街もあるので、そういったところもまた見て、こんなにきれいになったんだなと思ってもらいたいなというのもあります。
記者:私は、古川学園高校新聞部から来ました。この度のオリンピックで金メダルをとるという偉業を実現させた羽生選手は、これから大人になる私たち高校生にとっては、目標とすべき存在です。そんな私たち高校生に、これから夢を実現させるためには、どうすればいいか、夢をかなえるために失う犠牲はあるか、様々なものに対して、どんな心構えで臨めばいいか、アドバイスをいただければと思います。
羽生:はい。僕の中で、夢は全てかなうものだとは思っていなくて、きっと夢をかなえるためには、いろんなものを犠牲にしたり、自分がしたいことをできなかったり、したくないことをやらなければいけなかったり、そういった時間があるんだと思います。ただ、それをやり続けているからこそ、夢がかなった時に味わえる達成感ってすごいものだと思う。小さい夢を一つ一つ積み上げていって、その達成感が、原動力になればいいなと思います。また、自分が人生を懸けて、自分の学校生活を懸けて掲げている大きな目標に関しては、それだけに集中することで、それがかなった時の喜びはものすごく大きなものになるので、ぜひ何も恐れずに、懸けることをしてほしいなって思っています。
(構成/編集部・山本大輔)
※AERA 2018年5月14日号