資金の大半は祭りの主催者ではなく、協賛社から募る。資金の半分は祭りに、残りは協賛社のプロモーションに使う。

「お祭りは『メディア』だ」と加藤さんは言う。広告も時代遅れの方法では見向きもされない。

「今どきスポンサー名の入った提灯では広告効果は薄い。例えばお祭りで配る水やうちわにQRコードを入れて、待ち時間に動画を見てもらったり、アンケートを取ったりすれば、そこでマーケティングリサーチもできるんです」

 加藤さんに、働くポジションを勝ち取ろうという意識はあまりない。

「それよりも自分のアイデアを信じて、たくさんの人を巻き込んで、みんなの知恵と人脈で進んできたっていうのが実感です」

 会社の外に道を見いだした人がいるように、会社の中で道を切り拓いてきた人もいる。エン・ジャパンの田中麻衣さん(38)は、時短勤務で管理職。子育てとキャリアの両立に新たな道筋をつけた立役者だ。

 入社3年目には、トップ3の営業成績を残すエース級で、会社も男女半々で働きにくさは微塵も感じていなかった。しかし、30代に入り営業企画部門の管理職になった時、若手が口をそろえるある言葉が気になりだす。

「うちの会社で、結婚して子どもを産んで働き続けられるイメージがつかめない」

 実際に、当時は出産後に復帰する女性社員は少なかった。そこで、同じ問題意識を持つ社員に声をかけ、女性の活躍を推進するプロジェクト「WOMenらぼ」を発足。アンケートをして課題を抽出するうちに、根本的な問題にぶち当たる。世の育休明け女性の多くが悩む、時短給の低さだ。

 例えば、当時の制度ではフルタイムから時短になると給与が半減。総合職は、時短になると一般職よりも給与が低くなるため、復帰後は一般職に転換する社員も。優秀な社員が出産後キャリアを諦め、モチベーションを失っていく。退職も珍しくなかった。悔しさが胸ににじんだ。ある日、意を決し、会長にメールした。

「こんな問題があります。改善策を提案する余地ありますか」

 すると、こんな返事が。

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