ここ数年、“バブル”といっていいほど人気が集中している学部といえば医学部だが、
「日本人はどうしても雰囲気や気分に流されがち。医学部を志望する学生の多くは『こんなに頭がいいんだから、医学部を受けないと損』といった損得勘定が志望動機のケースも多いように見えます。本来なら『医者になって、病気で困っている人を救いたい』という思いがあってこその医学部進学のはずですよね。にもかかわらず東京大学の理〓などは、もはや一部の超進学校の生徒たちによる最高レベルの受験技術を競い合う場になっています」
そんな板野さんが勧めるのは逆張りの発想だ。
「景気がよくて、東京の私大を卒業すれば難なく有名企業に就職できる売り手市場が4年後も続いている保証はどこにもありません。そう考えると、人気に陰りが見えている地方の国公立大学を目指すのも一つの考え方。たとえば、北陸地方では突出した実力の金沢大学などは、センター試験の合格ラインが『75%台で合格倍率2倍以下』の学部もあるなど、難易度がかなり下がっています。私大文系人気の陰で不当に評価を落としている地方の国公立大学を狙うという逆張りの発想です」
(経済ジャーナリスト・安住拓哉)
※AERA 2018年4月23日号より抜粋