少子化のはずなのに、文系私大の難易度が上がって予備校も大盛況。必死で受験勉強をしても倍率の関係で落ちてしまうなら、高校1年から「3年計画」でがんばったほうが安全……?(撮影/MIKIKO)
少子化のはずなのに、文系私大の難易度が上がって予備校も大盛況。必死で受験勉強をしても倍率の関係で落ちてしまうなら、高校1年から「3年計画」でがんばったほうが安全……?(撮影/MIKIKO)
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 有名私立大学が合格者を絞り込んだことで厳しさが際立った2018年度大学入試。当然、万全な受験対策が重要となるとは思いきや、受験勉強の労力が報われない皮肉な現象が起きているという。東進ハイスクールで現代文・古文のカリスマ講師として有名な板野博行さんに聞いた。

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大学受験の合格対策は単なる受験テクニックだけにとどまらないのも事実だ。

「私大の難易度が上がった理由は、その多くが推薦やAO入試の枠を大幅に拡大していることにも原因がある」(板野さん)

 たとえば私大トップの早稲田大学政経学部ですら、合格者の半分は付属高校からの推薦やAO入試(面接重視の入試)によるもの。今や、私立大生の2人に1人は過酷な一般入試を受けず、高校からの推薦で有名私立大への合格切符を手に入れているのが現状なのだ。

「もし有名私大に100%確実に合格したいなら、その私大の付属高校や、有名私大への推薦枠が多い高校に入学するのが一番の近道かもしれません。高校の3年間ずっと優等生で過ごし、推薦を勝ち取るのにも相当な努力が必要ですが、一発勝負で不確実性の高い一般入試より、はるかに計画が立てやすいでしょう。最近では、学業成績が優秀で私立高校の特進科に進学した生徒がMARCHに落ちて、それより学力は低いものの普通科で3年間オール5の成績をとってきた生徒が推薦入学できる、といった逆転現象も起こっています。受験勉強の労力と結果が必ずしもイコールにならない不公平感は根強いですが、大学受験自体を回避してしまう推薦・AO枠狙いが実は一番の受験テクニックという皮肉な状況になっているのも事実です」

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