吐き気や手足の温度変化に悩まされた。冬場は指先がぴりぴりとし、寝るときは必ず靴下を2枚重ね。夏はサンダルをあきらめ、靴下をはいて過ごした。
抗がん剤の容器は、子どもたちから「こう君」と呼ばれた。毎回2日間は身に着けている必要があり、退院時に内田さんが「連れて帰る」と口にしたところ、「新しい家族だね、名前をつけなきゃ」という話になったのだ。
そもそも2度目の抗がん剤は想定外だった。
「状況によっては術後にもう一度やるかもと言われていたけれど、転移もなく、きれいに取れたので、ないと思っていました。でも一度目の抗がん剤がとてもよく効いたので、再発を防ぐためにもう一度やっておいたほうがいいって説得されて」
抗がん剤は効果がはっきりしないケースも多い。再発した知人は全員が「効いたなら、もう一度やっておけ!」と言うので、受け入れることにした。