その少し前の2009年9月には、仙台カップ国際ユースサッカー大会にU-18フランス代表の一員として来日して優秀選手賞を受賞。さらに2010年のU-19欧州選手権では5試合で2得点2アシストの活躍でチームを優勝に導き、大会最優秀選手に選ばれた。だが、チェルシーで出番を掴み取ることはできず、ローン移籍も成長の妨げとなり、2016年から3年間は中国リーグでプレー。現在はフランス2部のアミアンSCに所属している。現在31歳。間違いなく才能はあった。空想ではあるが、日本への帰化が実現していた場合の彼のキャリアも見てみたかった。

 そして、日系人として最も活躍し、最も優れた実績を残している選手が、スペイン代表の黄金期のメンバーだったダビド・シルバだ。1986年1月8日生まれ。スペインのカナリア諸島出身だが、母方の祖母が日本人。その活躍ぶりは言わずものがな。身長170センチと小柄ながら、左足での繊細かつリズミカルなボールタッチで巨漢DFのプレスを無力化。卓越したスキルと戦術眼、優れた創造性で、「無」からビッグチャンスを作り出す。クラブでは、バレンシア、エイバル、セルタ、マンチェスター・シティを経て、現在は久保建英が所属するレアル・ソシエダで絶賛活躍中だ。

 代表では2008年、2012年の欧州選手権、2008年のW杯優勝に貢献した世界的なレジェンドだ。その容姿から東洋系のルーツを持つことは広く言われ、長らく「中国」や「フィリピン」との説もあった中で、近年のインタビューなどで母エヴァ・シルバさんが日本人とスペイン人のハーフであることが明かされている。37歳となった今も実力はトップレベル。もちろん日本代表入りは不可能だが、仮に「帰化不要」に加えて「代表鞍替え」が可能なルールになれば、森保ジャパンで「久保&シルバ」の華麗なコンビネーションを見てみたいところである。

 過去、実際に日本代表としてプレーした日系人としては、16歳で来日した日系3世の田中マルクス闘莉王が、帰化翌年の2004年アテネ五輪出場を経て、2010年の南アフリカW杯に出場。日系ブラジル人として初めてW杯に出場した選手となった。

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闘莉王以外にも帰化選手が活躍