教育情報を発信する大学通信の安田賢治常務取締役も驚く。

 藤田教授も、

英語教育を外部に丸投げするのかと言われたが、そうではない。アカデミックな英語とビジネス英語は違う。我々は得意分野ですみ分けしている」

 と潔い。

 グローバル専攻の学生は入学式翌日に試験で12のレベルに分けられる。そこから留学までの半年、ELSとの連携により、15人という少人数クラスでどっぷり英語漬けに。遊ぶ暇はない。2年生の内田峻介さんは、

「最初は先生が何を言っているか全くわからなかった」

 と当時を振り返る。

 それでも往復4時間の通学時間に単語を覚え、学内の英語村に通うなど必死で食らいついた。留学先のミネソタでもホストファミリーや大学で出会った外国人学生たちと過ごすことで、入学時400点だったTOEICのスコアが810点にアップ。1年間の留学で得たものは英語力だけではない。

「留学先で違う国の人たちと関わることで、相手の気持ちを考えるようになりました。家でもテレビを見ながら手伝えることを探し洗濯物を畳んだりして、親からも『行動が変わった』と驚かれています」

 留学先から学生が発信するSNSが話題となり、さらに注目度も上がり、7月に行われた説明会には1千人以上が参加した。

 1期生では留学後のグローバル専攻の学生のTOEIC平均スコアが469点から700点、東アジア専攻の韓国語コース全学生が韓国語能力試験4級合格など当初の予想を上回る結果が出た。帰国後は、両コースともベルリッツの英語プログラムが本格的にスタートする。

「在学中に交換留学をして、卒業後は商社マンとして世界を相手に働きたい」(内田さん)

 手に入れた語学力で、何を学ぶのか。ここからが大学も学生も正念場だ。(ライター・戸高米友見)

AERA 2017年11月27日号より抜粋