2年前に新設された近畿大学国際学部は、学生全員1年次に 1年間の留学が必修だ。関西から海外を目指す学生が増えそうだ。
11月10日、大阪府東大阪市の近畿大学キャンパスを韓国の大学生24人が訪れた。彼らを迎えたのは、2016年に開設した国際学部の、国際学科東アジア専攻韓国語コース2年生の40人。挨拶からグループごとのディスカッションまで、流暢な韓国語で進んでいく。ついには主催の大阪国際交流センターが用意した通訳が「自分たちは必要ないから」と帰ってしまった。
近大国際学部は1年の秋から、グローバル専攻は米国、東アジア専攻は台湾や韓国など、学生全員に1年間の留学プログラムを必修としている。合計500人もの学生を一斉に、しかも入学からわずか半年で海外へ放り出す。その荒業に、受験生も怖気づくかと思いきや、初年度8541人、今年度1万1285人の志願者を集め、近大の志願者数4年連続日本一を牽引する結果となった。
学部長代理の藤田直也教授は、
「最近の学生は、大学での教育内容が学費に見合っているかをきちんと見極めている。その点で、本学部は満足度が高く、併願率も低いです」
一般に外国語学部、国際学部というと定員数が少ないと思われがちだが、
「実は、留学したい、海外に興味はあるが語学に不安があるからと諦めている学生は多い。そういう潜在的な志望学生にとって『500人なら自分も入学できるのでは』と気持ちのハードルが下がったのではないか。大学上層部から『500人定員でいく』と伝えられた時は、さすがに驚きました」(藤田教授)
しかも500人全員を1年次に留学させるという大英断。それを可能にしたのが、世界最大の英語学校ELSと語学教育企業ベルリッツコーポレーションとの提携だ。本丸とも言える英語教育を外部機関に任せている。
「普通なら教員から『自分たちでやる』と待ったがかかっても不思議ではない。やりきれるのは、大胆な教育改革に挑んでいる近大ならでは」