もう一つ、通知の回数が増える要因として考えられるのが、グループトークの機能です。インスタントメッセージは、従来のメールと同じような1対1に加えて、複数人が一つのグループに入って同時にやりとりができる、グループトークという機能があります。例えば家族やクラスメイトでグループを作り、自由にメンバーを招待することができます。LINEの場合、最大500人のグループを作ることができるそうです。当然ながら、グループの人数が増えるほど、やりとりの回数が増えます。場合によっては、少し目を離した隙にLINEの通知が何百件と溜まっていることもあります。
最後に、自分がメッセージを読んだことが相手へ即座に伝わる「既読」機能が挙げられます。「既読」したにもかかわらず、返信をしないことは「既読無視」と呼ばれています。ちなみに、どちらもしないことを「未読無視」と呼ぶようです。
このように、インスタントメッセージを使っている人たちの中には、「返信がない」イコール「無視されている」という認識を持っている人が少なからず存在しているわけです。そのため、メッセージを受け取ったら、相手に無視されたと思わせないように、「早く返信しなくては……!」という焦りが生まれてしまうのです。
■通知音が鳴るだけで低下する集中力
そこで私たちは、インスタントメッセージの通知がもたらす精神的な焦りや不安などが、子どもたちの勉強中の集中力を下げているのではないかと考えました。
東北大学の学生さんたちにご協力いただき、平均年齢約22歳の大学生21人を対象に、LINEの通知音が集中力に与える影響について調べました。
実験には同性の友人同士の3人組で参加してもらいました。まずは10分間、3人で自由にLINEのグループトークをしてもらい、その後に、3人のうち1人だけ別室で集中力を測る心理検査を受けてもらいました。
検査は、パソコンの画面に「〇」が表示されたらできるだけ早くボタンを押す、「×」が出たらボタンを押してはいけない、という単純なものです。やることは単純なのですが、いつ画面にマークが出るのかわからないので、集中して画面をじっと見続けなくてはいけません。