来館者が書き残した「落書き帳」には、
「ワニの迫力がすごい…」
「ワニが浮いたり沈んだりするのだけで、かなり楽しいです。奇跡的に泣いているのが見られました」
などと記されていた。
鰐さんはこう言う。
「このメガネカイマンの水槽が館内で一番大きいですし、一番迫力があります。最初は大きくて怖いと感じてもやはりカッコよさがあるので、人気がありますね」
館内では、ヘビも数匹、飼育されている。アフリカで生息するニシキヘビ科の「ボールパイソン」は触ることができる。
手のひらの上に乗せたボールパイソンは首をくねらせながら、記者の腕をはい上がろうとする。慌てて、「毒はないんですか? かまないですか?」と確認すると、鰐さんは「絶対大丈夫です。けっこう触り心地が気持ちいいですよ」とほほ笑んでいる。少し安心したので、手のひらの感覚に集中すると、そのやわらかい触感はまるで大福餅が動いているようで、確かに気持ちがいい。
次に、鰐さんが紹介してくれたのは、大トカゲの「レッドテグー」。長い舌をペロペロ出している。
「かまないですよ。やわらかいので触ってみてください」
と鰐さんに促され、ビビりながら触ると、意外にもおとなしく、触られるままになっていた。
形がスッポンに似ているがスッポンではない。その名も「スッポンモドキ」というユニークな生物もいた。
この他、同館にはリクガメ、ワニガメ、ニワトリ、コールダック、大型熱帯魚、ハムスターなどが飼育され、100種類もの生き物がいる。もともとは廃業した昆虫の博物館だった物件を鰐さんが丸ごと購入した。
「最初は廃虚みたいな建物でした。庭の土にごみが埋められていたり、屋根裏が焼け焦げていたりとひどい状態でしたけど、1年半くらいかけて改装しました」
土地と建物を2300万円で購入。リフォームに1000万円以上かけ、爬虫類館としてよみがえらせた。
鰐さんは大学の海洋学部を卒業後、民間会社に5年間勤務した。その会社の同僚に爬虫類の飼育を勧められたことで、その魅力にとりつかれたという。