経済的な制約に加えて、スマホとSNSの普及でコミュニケーションに割く時間が圧倒的に増えた。以前から趣味は人付き合いに便利な手段だったが、人とのつながりが浅く、広範囲になったことで、趣味のあり方がより人間関係に引きずられるようになっている。

「レジャー白書」2013年版では余暇活動を始めたきっかけについて調査しているが、若年層ほど「周囲同調型」(周囲の人がやっているから)、「助言重視型」(周囲の人に勧められたから)という割合が高まる。

●数カ月で変わる興味

 多数の交友関係を保ちつつ埋没しないために、「アニメ」「車」など、趣味を軸にした自分の“キャラ付け”が必要になっている、と原田さんは見る。

「そうなると、趣味を追求しすぎれば周囲から浮き、コミュニケーションが成り立たなくなる。理想は、普通の人もついていける、『アメトーーク!』程度の“ライトさ”。永続的に興味を持ち続けるのではなく、数カ月単位で変わっていくぐらいでいい、という傾向が強まっていると思います。また、モノを集めるような趣味は、どんどん弱くなっています。いいものを作れば若い人でも買ってくれるという考えは古い。いま大切なのは『インスタ映え』」(原田さん)

 ライト化の流れの中で、かつての勢いを失った趣味もある。例えば二輪車。月刊専門誌「オートバイ」によれば、現在の読者のメインは50代だ。二輪ジャーナリストの太田安治さんはこう語る。

「昔は友人や先輩、家族がバイクに乗せてくれたり、バイク乗りが女子にモテるなど、自然とバイクに興味を持つようなコミュニティーがあった。今は、そういう機会自体がなくなった」

 免許取得やバイク、ヘルメットなどのウェア等をそろえる費用が高額ということもあり、ライト化時代には参入障壁が高い趣味になってしまったのだ。

 切手などを集める郵便趣味(郵趣)。日本郵趣協会によれば、ピーク時の1980年に4万人だった会員が今は8千人に、ジュニア会員は2万人から100人を切った。希少で高価な切手を集める人が減る一方、風景をあしらった消印(風景印)と切手をあわせて集める郵便局めぐりが、仲間と一緒にスタンプラリー、小旅行気分であちこち回れると人気らしい。

「趣味は、仲間がいないと続かないものなんです」(郵趣協会)

 深み、高みを求めず、「連帯」を求める──そんな現代にマッチしたイベントが「ヘボコン」だ。技術力のない人が見よう見まねで作ったロボットで競うコンテストで、14年夏にスタートしてからファンが増え続け、今や25カ国以上で開催されている。考案者はニフティの読み物サイト「デイリーポータルZ」編集者の石川大樹さん。

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