転職活動の末、都内の高級ホテルに内定。念願のベルスタッフとして働いた。フロアを通りかかる人すべてが接客対象。目の回るような忙しさだったが、仕事の醍醐味を味わえた。
だが、夢のような日々はそう長くは続かなかった。夜勤は午後4時から翌日の午前7時まで。休憩も2時間ほどしかない。定時を迎えても忙しければすぐには上がれず、体調を崩した。
やむを得ず2年で退職。その後、食品メーカーや酒類メーカーで営業として働いたが、一生続けたいとは思えなかった。気づけば35歳。周囲の友人は、結婚や出産など新しいステージに進んでいるのに、片野さんは将来のビジョンを描けずにいた。
●同僚たちとの心の距離
そんな頃、退職後も時々会っていた森永時代の後輩からリターンジョブ制度について聞き、心が動いた。
「受けてみようかな」
気になったのはやはり元同僚の目。思い切ってこの後輩に相談すると、「いいじゃん!」。意を決して応募した。
面接では、前職で営業を経験したことで即戦力になれる、転職して改めて人事に興味があると自覚し、未経験の労務管理部門に挑戦して人事担当として研鑽を積みたい、と訴えた。