2020年の東京五輪に向けて、新卒採用だけでなく、40代以上も含めた転職市場が活況だ。気になるのは転職後の年収のアップダウンだが、自己実現を優先しようと地方に移る人、お金に価値を置かない転職も増えている。AERA 5月22日号では「転職のリアル」を大特集。転職をまじめに考えている人、うっすら意識している人にも読んで欲しい。
「辞めた人=裏切り者」なんて過去の話。企業にも出戻る社員にもメリットが大きい、意外とハッピーな転職の形として定着しつつある。
* * *
離れてみて、初めて魅力に気づいた。つらいこともたくさんあったはずなのに、胸をよぎるのは楽しい思い出ばかり──。
往年の恋愛ソングばりに思い出されるのは、別れた夫ならぬ「辞めた会社」。見切りをつけて辞めたはずなのに、退職するとこれまで気づかなかった良いところが見えてくるものだ。
ただ、いざ元の会社に戻るとなると、目に浮かぶのは元上司や同僚の冷たい視線。「出戻り」転職は、そんな心理的なハードルもあって、なかなか一般化しなかった。しかし、そんな事情が変わってきた。
エン・ジャパンが2016年1~2月に行った調査によると、回答した220社のうち67%の企業が「一度退職した人を再び雇用したことがある」。NTT西日本、横浜銀行、ニトリなど、業種を問わずさまざまな企業が、退職者を再度雇用する制度を設けていた。エン・ジャパン「エン転職」編集長の岡田康豊さんは、背景をこう語る。