最初の入社はITバブル全盛期。社員は50人足らずだったが、勢いがあった。ジャスダック上場や子会社立ち上げなど、会社の成長に応じて新しい仕事にチャレンジできる喜びも大きかったという。

「業界全体もイケイケで。仕事はものすごく忙しかったけど、『好きなこと=仕事』というタイプ。楽しかったです」

 5年が過ぎたころだろうか。

「ここでできることは、やりつくしたんじゃないか。独立して力を試したい」

 という思いに駆られた。上司には引き留められたが08年に退職。友人と2人でウェブ開発の会社を立ち上げた。

 しかし、現実は厳しかった。独立当初こそ順調だったが、リーマン・ショックの影響もあり、次第に受注件数が落ち込んだ。スマートフォンアプリの開発に切り替えて一時は浮上したものの、やがて会社をたたまざるを得なくなってしまった。
 データ解析のITベンチャーに転職したがこちらも1年半ほどで経営が傾いた。2人の子どもを育てる身として、そろそろ安定した職に就きたいと考え始めていた直後、エキサイトの元同僚からフェイスブックを通じてこんなメッセージが届いた。

「うちの会社、エンジニアが足りていないようです。戻ってきませんか?」

 退職してからも時々会っていた、他部署の同僚からだった。すぐに面接が決定。面接担当者はかつて一緒に働いたことのあるCTOだった。

「久しぶりですね」

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ