芝浦製作所時代に、これまた日本初の「40トン直流電気機関車」(1923年)を製造したことから始まり、現在は新幹線など、国内外の多くの車両に、制御装置や室内灯などの電機品を供給している。

 そんな鉄道界での東芝製品については、この方に解説してもらおう。制御装置や発電機をはじめ、室内灯などの東芝製品を搭載した「小田急ロマンスカー」を、1993年からの12年間、実際に運転していた、元小田急電鉄の濱崎勝明さん(50)だ。

●運転士の心強い相棒

 ロマンスカーは1957年デビューのSE(3000形)と呼ばれる車両から、制御装置はすべて東芝製で、ほかに室内灯なども東芝製が使われている。

「制御装置というのは、電車を動かすモーターによって加速や減速をコントロールする、いわば電車の心臓部ともいえる部品です。車両によって設計が違うので他メーカーとの比較はできませんが、少なくとも私が運転していたロマンスカーの制御装置の信頼性は抜群。運転士にとっては無銘の名刀という印象です」

 制御装置は、運転士の意思を車両に伝える相棒のようなもの。そう話す濱崎さんが、こんな思い出を語ってくれた。

「深夜、土砂降りの雨のなかを走っていると、駅の明かりが見えるとほっとしたものです。列車運転を任される運転士にとっての目標は、どんな状況でも何事もなく走行すること。確実に動作する“相棒”のありがたみを、つくづく感じていました」

 進めば明かりも見えてくる。ドンマイ! 東芝。

(ライター・福光恵)

AERA 2017年4月17日号