「米国第一主義」で世界をかき回すトランプ大統領。仏独などで重要な選挙が続く欧州でも、極右政党が勢いを増している。このまま世界はトランプ化するのか。それとも拒絶されるのか。3月15日に行われるオランダ総選挙が試金石となる。
1月21日、フランス、ドイツ、オランダの「極右連合」をアピールするような1枚の写真がツイッター上に現れた。
「新しい欧州の指導者たちと一緒にいることを誇りに思う」
というコメントとともに写真を投稿したのは、反移民や反EUを掲げるオランダの自由党(PVV)ウィルダース党首(53)。思想や主張で共鳴するフランスの国民戦線ルペン党首(48)や「ドイツのための選択肢」(AfD)のペトリ共同党首(41)と並んで座り、3人そろって満面の笑みをみせている。
ともに今年、自国の将来にとって極めて重要な国政選挙に臨む3人こそ、世界の注目を集めている「極右サークル」だ。
トランプ米大統領は就任1カ月余りで、メキシコ国境での壁建設や、中東・アフリカ地域のイスラム圏諸国からの一時入国を禁止する2度の大統領令など、米国第一主義に徹する政策を次々と発表。政治経済の統合や、環境、人権、移民・難民などの課題で「協調」「共生」といった価値観を最重視してきた大陸欧州各国の有権者も大きく揺れている。
これまでは、フランスとドイツがこうした「欧州の価値観」を先導してきた。そのフランスでは4月から5月にかけて大統領選が、ドイツでは9月に総選挙が控えている。そして、世界情勢に大きな影響を及ぼす二つの選挙の「前哨戦」として、今月15日に投票されるのが地理的に両国の間に位置するオランダの総選挙だ。仏独の選挙結果を占う大きな試金石になるとして、世界中からかつてない関心を集めている。
ウィルダース氏が言うように「新しい欧州の指導者」として選ばれることがあれば、英国のEU離脱(ブレグジット)、米国大統領選が引き起こした自国中心主義、反グローバル主義のうねりに、大陸欧州までのみ込まれることになる。