エアコンの温度設定は、よくある夫婦げんかのタネ。最新鋭機は、暑く感じる人だけに冷風を送るというので、さっそく試してみると──。
家のエアコンが、まるで示し合わせたかのように次々故障したのは、去年の夏のこと。汗だくの熱帯夜を何日か過ごして、よくわかった。これまでドラム式だのサイクロンだの、新機能が目を引くほかの白物家電にときめいてばかりでごめんなさい。自分にとって真に大切な家電は、あなただったのね……。
家庭用ルームエアコンは、国内で年間800万台前後(パナソニック調べ)の需要があり、ここ数年は増加傾向。1世帯に複数設置されることも多いだけに、景気や消費増税などには左右されにくい、白物家電の優等生らしい。
その進化もけっこう大変なことになっている。まずは省エネ。電気代は昔のエアコンの約半分になったと言われ、エコや家庭の緊縮財政をバックアップ。ほかにも湿度コントロール、空気清浄機能、自動掃除機能など、最新技術を駆使した商品を各社は投入している。
なかでもここ数年、各社が力を入れているのが、センサー技術だ。たとえば天井の温度まで見て部屋中を涼しくする「くらしカメラ4」(日立)、手先足先など人の細部の温度変化から快適さを判別する「ムーブアイ極」(三菱電機)など、各社自慢のセンサーを搭載することで、効率的に部屋の温度を調節。省エネ性能向上にも役立てている。
●真夏の温度設定バトル
わかりやすいのが、西島秀俊がパパ役で出演するパナソニックのCM。まず庭仕事から部屋に戻ってきたパパと息子が言う。
「暑いな~」
部屋にいた妻が「そう? 涼しいよね~?」と娘に同意を求める。で、カメラが引くとエアコンから暑がっている人にだけ冷風がしっかり突撃している。
ちなみに寒がりの妻と、暑がりの夫のエアコンの温度設定バトルは、真夏の夫婦げんかの引き金あるある。たかがエアコンの温度設定とはいえ、相手を思いやらない、いつもの自己中が連鎖的に思い出されて、大げんかに発展するケースだってある。