●やはり最後は女王が

 夫の人気がなかなか回復しないことに業を煮やしたキャサリン妃は、5月にチェルシーフラワーショーに引っ張り出した。数々の豪華な庭園を見て歩いたが、左手をポケットに突っ込み憮然とした表情の王子の写真が「退屈そう」として、ニュースに添えられる始末。伝統と歴史を誇るショーに王子は初めて足を運んだと強調された。

 次にバッキンガム宮殿でのガーデンパーティーに夫妻で参加した。王子はモーニングとシルクハット姿できめたのに、これまた王子は初参加と繰り返された。しかも帰りの足はプライベートヘリで、自宅のアンマーホールにわずか45分で着陸。約80万円の費用は税金から支払われるが、女王はほとんどいつも電車を使用する、とまたもや非難された。これも、子どもたちに一刻も早く会いたかったからだと書き立てられた。

 何をしても夫の評判が回復しない。キャサリン妃はせめてぜいたくと思われないように、さらに「リサイクル(着回し)」に努めている。公務の際の笑顔はもちろんである。

 満を持して登場したのは女王である。公式誕生日である6月11日に、バッキンガム宮殿のバルコニーにロイヤルファミリーが勢ぞろいした。ウィリアム王子はジョージ王子に話しかけようと目の高さまでしゃがみこんだ。その様子に女王が「スタンダップ、ウィリアム」と一喝。王子はたちまち立ち上がった。

 今は、バルコニー前に集まってくれた国民に姿を見せ手を振るとき。公務と家庭とのバランスを取るすべは、在位60年を超えるベテランから将来の国王にしっかり伝わったに違いない。(フリージャーナリスト・多賀幹子)

AERA 2016年7月4日号

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