みんな身銭を切っているのに…(※イメージ)
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 多くの企業が経費削減に走る昨今。民間サラリーマンからは、政治資金を私的に流用する舛添要一都知事への批判が噴出した。

 しめて100万円。大手運送会社で働いていた男性Aさん(34)が、昨年までの6年間、「夜の接待」で身銭を切った総額だ。

「最も多いときで、一晩8万円近く飛んでいきましたね」

 その夜、男性は新規で取引したい企業の社員を食事に誘った。相手は3人連れ、Aさんは部下と2人。計5人でまずは地元料理の店で飲み食いし、2次会はクラブへ。勘定は3万円と5万円で、計8万円になった。

 会社規定では、クライアントの接待の経費精算は、食事とノンアルコールドリンクならOKだが、アルコール付きはダメ。運送会社なので飲酒運転を未然に防ぐためではなかったかと、Aさんは推測する。

 だが、お酒抜きの夜の接待など考えられない。会社に請求する際には、領収書に加え明細を記したレシートの添付も義務付けられていたのでごまかせず、全額自腹を切るしかなかった。Aさんは接待を最重要顧客に限っていたが、それでも6年間で約20回接待し、計約100万円をポケットマネーで払ったのだ。

「いま思うと、社畜ですね」

 とAさんは笑う。

●経費で落とせるキャバクラ代

 家族と出かけた温泉旅行の宿泊費などに政治資金を流用し、「ケチの王様」と揶揄されている舛添要一・東京都知事への批判が止まらない。多くの民間サラリーマンは、会社から経費削減を命じられ、おいそれとタクシーにも乗れない昨今。アエラネット会員を対象に実施した緊急アンケートでは、仕事にかかった経費で自腹を切ったことがあるかとの問いに、「ある」と答えた人が84%に達した。

 そもそも、仕事でかかった経費は税務上どこまで認められるのか。税理士ドットコムに登録する高橋佳宏税理士(東京・渋谷)は、原則として事業に関連する支出であれば経費で落とせると話す。

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