●誰に見られても抵抗なしの危険

 実際、外務省のホームページには、海外で異性親子の入浴を公然と話さないように注意を呼びかけるページもある。場合によっては幼児虐待と疑われ、逮捕される可能性があるからだ。

 子どもの思春期の成長という観点から見ると、異性親子での入浴は条例同様、小学校高学年頃までにするのが妥当という指摘もある。小児心理学などが専門のルーテル学院大学・田副(たぞえ)真美准教授は、高学年以降も入浴を続けると異性との適切な距離を取ることができなくなる可能性があると話す。

「女子では小学5、6年生で前思春期を迎えます。精神的にはまだ子どもですが、第二次性徴期を迎えるこの時期に、男性と女性は違うものという意識を持たせることも大切です。場合によっては、年頃になっても父親だけでなく、誰から裸を見られても恥ずかしくないという状態になってしまいます」

 コミュニケーションに関しても、風呂でのコミュニケーションは卒業すべきとの見解を示す。「お風呂だとよく話す」というのは親に原因がある場合もあるというのだ。

「親が仕事や家事などに追われる姿を見せていると、子どもも気を使って話せない。風呂だけが唯一、親がリラックスしている場所だとしたら、子どもはそれを敏感にキャッチし、『今ならゆっくり話を聞いてもらえる』と感じ取る。風呂コミュニケーションではなく、普段から親のほうが時間をつくり『今なら話が聞けるよ』という雰囲気をつくることが大切です」

 親としては、わが子との風呂卒業は寂しい気もするが、これも子離れの一歩。一人風呂へと導くのも親の役割のようだ。

AERA 2016年4月11日号

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