お風呂でのコミュニケーションは卒業すべき?(※イメージ)
お風呂でのコミュニケーションは卒業すべき?(※イメージ)
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父と娘、母と息子。異性の親子は、いくつまで一緒にお風呂に入ってOKなのか? タイミングを見誤ると、子どもの成長にも影響があるかもしれない。(ライター・宮本さおり)

 都内在住で小学校6年生の娘を持つ男性(43)は、幼稚園に通う息子ともども娘とも入浴することがある。

「はっきり言えばこちらもいやですが、旅行先で家族風呂がついているときなど、妻も含めて家族一緒に入る。子どもたちが喜んで入るのでいやだとは言えないんです」

 娘と妻の会話を聞いていると、どうやら娘には好きな男子もできた模様。そんなきわどい話を風呂で聞けば、ゆっくり浸かる気分でもなくなる。娘は、昨年まではただのタンクトップを着ていたのに、今年に入ってカップ入りのキャミソールを着始めた。パンツだって、キャラクター入りのへそまで隠れる「子ども用」から、水玉にフリフリレースの付いた「女性用」へ。目のやり場にも困る。

「端々に女らしさが出てきたな、と。家族みんなで入ることに娘は抵抗ないようですが、やはりそろそろ考え時かと……」

 これからの旅行では、家族風呂付きの宿泊先はやめようと検討中だ。

●家族なら裸OK文化が根付く

 小4と小6の娘を持つ都内在住の男性(39)も、ときどきだが家族4人で入浴する。妻も娘もパパとの混浴に対し、恥ずかしいという気持ちは薄い。むしろ子どものほうから「一緒に入ろう」と誘われるほど、日常の一コマとなっている。

 この男性宅では妻も平気で風呂上がりに裸でうろうろしているため、“家族ならば裸は平気”という文化が根付いているようだ。

「子どもはまだ精神的にも幼いのか、男女の違いをあまり気にしていない」

 と、男性。今さら「一緒に入るのはやめよう」なんて言い出したら、そのほうが不自然で意識しすぎな感じさえするのだという。本人が恥ずかしくないのならば、このまま入っていいのでは、と現状を続ける予定だ

 子育てに積極的にかかわる男性も増え、赤ちゃんの頃から“風呂はパパの役割”という家庭も多くなった日本。夕食の後片付けなど忙しい時間帯に子どもを風呂に入れてくれるのは、母親にとっても嬉しいかぎりだが、娘の場合、父親という異性といったいいくつまで入浴するのが適当なのか。中にはこの入浴タイムが度を越して、20歳過ぎても父親と風呂に入るのが平気という女性もいて、SNSなどでそんな話が載ると、賛否両論が飛び交うこともある。いったい“親子混浴”のNG年齢はいくつだろうか。

●ぺちゃんこが…自然消滅が理想

 首都圏に住む男性(46)は、中1と小3の娘がいるが、長女とは小5でパパ風呂を卒業した。卒業の目安は、「ぺちゃんこだった胸が少しふくらみはじめたころ」。

「女性として見ているわけではないのですが、なんとなく恥ずかしくなった」

 長女本人も周囲の友達からの情報で、父親と風呂に入っている子がいないことを知り、だんだんと一緒に入ることはなくなったという。この男性は、現在は次女とは一緒に入ることもあるが、「そのうち自然と入らなくなるのでは」と踏んでいる。

 特に区切りをつけなくても、自然消滅していく──。それが“親子混浴”終焉の理想かもしれない。東京ガス内にある風呂文化研究会のまとめによると、娘が9歳までは約半数の父親が一緒に入浴。だが、娘が11歳になると約1割と途端に減る結果に。パパ風呂卒業の分かれ目は、どうやら小学校4年生になる「10歳」にあるようだ。

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