「健全な免疫システムは、ウイルスや細菌に反応する『Th1』と、アレルゲンに反応する『Th2』という2種類の細胞のバランスがとれている。両者は拮抗していて、幼少期にウイルスや細菌に触れる機会が多いとTh1が増えてTh2が減り、アレルギーが制御される。逆に清潔すぎる環境で育つとTh1が少なくTh2が過剰になり、アレルギーを起こしやすくなる」(国立成育医療研究センターの斎藤博久医師)
最近は、さらに衛生仮説を後押しする研究報告もある。
「エンドトキシンを吸い込むと、鼻粘膜や気管支のバリアー機能を補強する作用がある可能性が出てきました」(同)
となると、すでにアレルギー体質になっている人でも、不衛生な環境で過ごせばいいかと考えたくなるが、答えはNOだ。
「免疫システムにはメモリー機能があり、一度、アレルゲンに反応したTh2細胞ができると、体が覚えてしまいます。成長してからウイルスや菌に接しても、アレルギーが改善されるわけではありません」(同)
(ライター・越膳綾子)
※AERA 2016年3月7日号より抜粋