東京・赤坂で行われたグローバル人材塾の「アジア就職面談」では、シンガポールやインドネシアなど、アジア各国から集まったコンサルタントが相談に応じた(撮影/編集部・柳堀栄子)
東京・赤坂で行われたグローバル人材塾の「アジア就職面談」では、シンガポールやインドネシアなど、アジア各国から集まったコンサルタントが相談に応じた(撮影/編集部・柳堀栄子)
この記事の写真をすべて見る

 なぜだか女子は、「海外で働きたい」願望が強いと言われる。だがこれは、単なるあこがれではない。やむにやまれぬ事情があるのだ。

 ELLEとアエラが共同で企画したアンケートでは、「海外で働きたいと思うことはありますか?」という問いに、47.4%の女性が「はい」と回答した。

 人気だったのはアメリカやヨーロッパ。だが、海外での人材採用や現地法人の運営サポートを行うパソナの執行役員、市川知之さんによれば、

「アメリカやヨーロッパは、ビザ取得の難しさがあるので日本人を雇いたいというオーダーがそもそも少ない」

 職を得るには、相応の努力が必要だ。

 海外でのキャリアを求めるなら、比較的ビザが取りやすく、日系企業が多く進出していて求人も多いのはアジアだ。

「今の会社の海外駐在は年功序列。自分の番がくるとしたら30代中頃でしょう。結婚・出産を見据えたライフプランを考えると、待てません」と話すのは、メーカーの商品企画部門で働く女性(28)。パートナーはドイツ人だが、自分もヨーロッパで働くとなると今のキャリアではいい仕事がない。それなら、キャリアアップを前提に、まずはマレーシアで仕事を探そうと海外就職セミナーに参加した。

 彼はすでにマレーシアで働いている。女性の現在の職場では、産休・育休を取得した多くの女性たちがアシスタント的な仕事に異動していた。自分は、子どもも欲しいしキャリアも積みたい。20代のうちに夢だった海外へ行きたかった。

 海外就職を支援するグローバル人材塾の田村さつき代表によると、就職相談にくる女性は、20代後半が最も多い。7月に実施した「アジア就職面談」では、申し込みのあった104人のうち55人が女性。うち29人が20代だった。「勢いのあるアジアで挑戦してキャリアを積みたい」という理由以外に、前出のメーカー勤務の女性のように、「駐在員の順番を待てない」という人も多い。

AERA 2015年8月3日号より抜粋