さまざまなジレンマを抱える……
さまざまなジレンマを抱える……
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 東大を出たママたちは子育てにおいても学歴を意識せざるを得ない。自分と同じ道を、と子どもに期待して勉強に熱がこもったり、逆に、自分がそんなに勉強しなくてもデキがよかっただけに、子どもにも「そこまでしなくても」と思ったり……。さまざまなジレンマを抱える。

「英語をぼくも習いたい。保育園のお友だちのようにしゃべれるようになりたい」

 小1の息子が保育園時代、無邪気に語る言葉に、翻訳会社アークコミュニケーションズを経営する大里真理子さん(51)=文学部卒=は頭を抱えた。

 英語の早期教育がアツい昨今。子どもがそんなことを言い出そうものなら、小躍りする親もいるだろう。しかし簡単にのれないあたりが、東大卒ママ。

「勉強はいつでもできる。急ぐ必要はないと思うんですよね」

 地方都市に育った大里さんは、成績はいつもトップ。勉強しなくてもできた。東大にも塾なしで合格した。実は東大卒ママにはガリ勉タイプよりも、大里さんのような「勉強ができたから東大に入った」という余裕あるタイプが多い。それだけに早期教育には一歩引いた思いがある。

 ましてや「東大合格」をゴールに奔走する母親たちを目にすると、疑問を感じる東大卒ママも多い。ある女性はこう話す。

「そんなことをして子どものためになるのかな、と思うのですが……。東大卒の自分がそんなことを言おうものなら、相手の神経を逆なですることはわかっているので口をつぐむだけです」

AERA  2015年4月27日号より抜粋