昨年12月に、高校生を対象に関西学院大学で行われた「GO GLOBAL JAPAN EXPO」でのロールモデルカフェ。インドネシア産カカオを使ったチョコレート店「Dari K」を起業した吉野慶一さんの話に、高校生が耳を傾ける(撮影/編集部・高橋有紀)
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昨年12月に、高校生を対象に関西学院大学で行われた「GO GLOBAL JAPAN EXPO」でのロールモデルカフェ。インドネシア産カカオを使ったチョコレート店「Dari K」を起業した吉野慶一さんの話に、高校生が耳を傾ける(撮影/編集部・高橋有紀)

 教育でもグローバル化が進みつつある日本。海外で働きたい、と外向きの夢を語る若者がいる一方で、やはりまだ外に出るよりもずっと日本で、という高校生も少なくない。世界を舞台に働ける人材を育てようと大学は取り組む。

「若者の内向き化」が取りざたされるようになった理由は、海外留学する日本人の数が減少したことにあるが、すでに留学生数の減少は底打ちし、増加傾向に転じたと見られている。

 その分、進んだのが二極化だ。産業能率大学の「新入社員のグローバル意識調査」(2013)によれば、58.3%が「海外で働きたいとは思わない」と答え、01年度の29.2%から倍増している。一方で、「どんな国・地域でも働きたい」と答えた人の割合も、01年の17.3%から29.5%へと増加している。関心のある学生が留学しやすくなっている一方で、国内志向が強い学生も増えているのだ。

 留学生数の増加は、大学でのグローバル化の取り組みの加速にも後押しされているようだ。

 明治大学では、13年度の留学生が前年度に比べ3割ほど増えた。国際日本学部では、インターンシップとあわせた独自のプログラムが人気だ。世界中から観光客が訪れる米フロリダのディズニーワールドでのインターンシップで、約半年働く。これを目指して入学する学生もいるほどだ。

「インターンシップ参加前に、フロリダ州立大学での授業も組み合わせている。日本人はまじめでホスピタリティーがある、と学生たちは現地での評判がよく、30人ほどだった受け入れ枠も50人前後まで増えています」(横田雅弘国際日本学部長)

 学内の施設の充実にも目を見張る。神田外語大学のラーニングセンター「SALC」には自主的に学ぶ学生を育てる仕掛けがいたるところにある。一歩入れば日本語禁止。本棚に並ぶのはありきたりの副読本ではなく、たとえば、『進撃の巨人』のバイリンガル版。

 2人がけのソファが置かれたブースが並び、映画のDVDも見ることができる。スピーキングの練習を思う存分できる個別ブースも。アドバイザーも常駐し、学習の手段、教材、目標などを学生が考える手伝いをする。1日に700人以上が利用するというのも納得だ。

「4年間でいろいろ刺激を与えながら、自分の頭で考えて学び続ける力や習慣をつけてやりたい。先行きの見えないこの時代、それが幸せにつなげる数少ない道だと思っています」(酒井邦弥学長)

AERA 2015年1月26日号より抜粋