出産や仕事の忙しさ、住環境の変化などをきっかけにセックスから遠ざかる夫婦は少なくない。
日本ではセックスの回数が強調される一方、内容を充実させようとパートナーと話し合うことは少ない。それが問題と言うのは、『東洋医学で目覚める「オーガニックセックス」』の著者で、鍼灸マッサージ師、気功師、性セラピストの玄斎さんだ。時間をかけ、人間本来の「感じる力」を引き出す「オーガニックセックス」を提唱する。
「ここ数年は『オーガズムを知りたい』『夫とのセックスが苦痛』という女性相談者が急増しています。大半の夫婦生活が女性の気遣いで成立しています」
ある女性(52)は、2年前から頭痛と嘔吐に悩まされていた。原因は、無自覚に性交痛を我慢し続けた結果のストレスだった。こういうケースで玄斎さんが重要だというのが「血行」。セックス前には湯船で全身をしっかり温めて、丁寧にさすり合うことが大事だという。
「前戯、つまり性交前の愛撫は、女性の骨盤周辺に血液を集めるためでもあります。『いつもありがとう』『きれいだよ』など、男性が愛情のこもった言葉をかけてあげると、女性の敏感度はいっそう高まります」
相談に来る女性には、長年セックスで快楽を感じないのは「自分の体質」だと諦めている人も多いという。だが、絶頂感を得られない体質の女性はまずいない、と玄斎さん。
「セックス時間が15分だとか30分だとかよく耳にしますが、その短時間内で女性が感じることはまずありません。男性はセックスは愛情交換だという意識を忘れずに。愛撫の前にツボ刺激やマッサージを取り入れるのもいいでしょう」
※AERA 2014年12月22日号より抜粋