ジェットスター・ジャパン齋藤亜里紗さん震災から8カ月後、ジェットスターの募集を知り、即座に受験を決意した。「祖母に、CAとして働く姿を見せたいと思ったからです」(撮影/写真部・慎芝賢)
ジェットスター・ジャパン
齋藤亜里紗さん

震災から8カ月後、ジェットスターの募集を知り、即座に受験を決意した。「祖母に、CAとして働く姿を見せたいと思ったからです」(撮影/写真部・慎芝賢)
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 すっかり市民権を得た格安航空会社(LCC)。さまざまな経歴の女性たちが憧れの「客室乗務員」になるため、新しい世界に飛び込んだ。なかには東日本大震災を機に、転職を決めた女性もいる。

 ジェットスター・ジャパンの齋藤亜里紗さん(26)は仙台出身。幼いころからCAに憧れ、旅好きの祖母に励まされて大学卒業時に航空会社を受験した。

 だが、いずれも不合格で地元のデパートに就職、化粧品販売担当として働いているときに被災した。親戚5人を失い、気仙沼の祖母とその妹は、いまも仮設住まいを余儀なくされている。

 今春、航空雑誌の取材を受けた齋藤さんは、掲載誌を祖母に送った。

「先日、仮設住宅を訪ねたんです。知らないおばあさんが『亜里紗ちゃんでしょ?』と声をかけてきました。祖母が、友だちを集めて『これがうちの孫よ』って雑誌を見せたらしいんです」

 憧れのCA生活だが、現実の労働環境は厳しい。たとえば勤務中の食事時間は設けられていない。手作り弁当を持参し、機内で着陸から出発までの間に数分で済ます。オーブンで温めてすぐ食べられるパスタや焼きそばが多いが、便に遅れが生じるとそれすらもかなわない。でも、と齋藤さんは言う。

「LCCは気軽な旅を可能にすることで社会に貢献していると思います。家族が日本中の方からサポートを受けている分、少しでも恩返ししたい。その思いを実現できていると感じます」

AERA  2013年10月28日号より抜粋