LINE UXチーム稲垣あゆみ(30)私立中学時代に、裕福な家庭の同級生を見てハングリー精神に火がついたという。「百度」の入社面接は一度落ちたが、直接交渉で入社にこぎ着けた。同世代には社会企業家も多い。「パッションがあれば人はついてきます」(撮影/品田裕美)
LINE UXチーム
稲垣あゆみ(30)

私立中学時代に、裕福な家庭の同級生を見てハングリー精神に火がついたという。「百度」の入社面接は一度落ちたが、直接交渉で入社にこぎ着けた。同世代には社会企業家も多い。「パッションがあれば人はついてきます」(撮影/品田裕美)
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資生堂 人事部参事本多由紀(46)10年以上大阪や九州で営業などを担当。現在は、国内ビジネスの人事改革に取り組む。第2子出産後、自らがやりたいと最も願っていた仕事だった。「どんな仕事もプロ意識を持ってやり切る責任感が大事だと思います。」(撮影/写真部・慎芝賢)
資生堂 人事部参事
本多由紀(46)

10年以上大阪や九州で営業などを担当。現在は、国内ビジネスの人事改革に取り組む。第2子出産後、自らがやりたいと最も願っていた仕事だった。「どんな仕事もプロ意識を持ってやり切る責任感が大事だと思います。」(撮影/写真部・慎芝賢)

 いま「野心」が注目されている。閉塞感溢れる時代の新たなキーワードだ。だが、特に女性は野心家になれば困難がつきまとう。特に結婚や出産といかに折り合いをつけるかは大きな課題だ。

 7月にユーザー数2億人を突破した「LINE」。その企画開発の中心にいるのが稲垣あゆみ(30)だ。

「社会にインパクトを与えたい。その思いで仕事をしている」

 いまや通信インフラの一つとなったサービスをさらにどう改良するか。稲垣は多くのプロジェクトを掛け持ちで担当する。自分の経験や知識が、困っているメンバーの助けになればと、つい口を出して、気がつくと輪の中心にいることの繰り返しだ。

「自分の意見を言わずにはいられない。何でも言い合えるフラットな組織で働きたかった」

 大学在学中から、ベンチャー企業だった楽天や、韓国のIT企業などでインターンを経験した。「成長を体感したい」と、中国のネット企業「百度(バイドゥ)」の日本法人でも働いた。日本の大手企業に就職することはむしろ「リスク」にしか思えなかった。

「成長する組織で新しい価値を生み出すことにしか興味がない」
 
 24歳で結婚。夫は突然海外に飛び出す彼女を、「そういうところがいい」と応援してくれる。「女の野心」を体現するには理解あるパートナーの存在は欠かせないという。だが、出産時期を巡っては悩む。仕事と子育ての両立は未知の世界だ。

 資生堂の人事部参事の本多由紀(46)は、管理職になった後、やり残していることがあると感じた。「2人目」の出産。上司に、妊娠に向けて準備に入りたいと申し出た。仕事ではプロとして結果を出すことにこだわりながら、43歳で第2子を出産した。

「ワークもライフも自分でプログラムして、人生を充実させること。これが一番大事なのではないでしょうか」(文中敬称略)

AERA  2013年8月12-19日号