まさに、今の官僚たちに当てはまる。おかしいと思った時に、いつも諦めて異論を述べず、黙々と従っていると、それが当たり前となり、ついには、間違っているということに気付くことさえできなくなる。
だから、それが徒労に終わるとわかっていても、なお、異論を述べなければならないということだ。
しかし、よく考えると、これは他人ごとではない。
私の経験では、官僚が意を決して異論を述べ、声を上げる際、唯一の望みは、マスコミの正しい報道と国民世論の支持だ。
しかし、「今はとてもそういうことが期待できない」と官僚が考えているとしたら。
これは、私たち自身の問題だということだ。
そもそも、国民の権利は、官僚に守ってもらうものでも、政治家に守ってもらうものでもない。自分たちの力で守るものだ。
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」
憲法第12条もそう私たちに教えてくれている。
新年だからといって、「リセット」してはいけない。
※週刊朝日 2020年1月17日号