日本は腰痛大国。これが要介護を招くとメディカルガーデン整形外科(千葉)の伊藤晴夫院長は言う。
「腰を痛めると歩くこともままならず、放っておくと筋肉が衰える。寝てばかりだと膝や股関節、内臓の機能を低下させる“負の連鎖”が起きるのです」
となると、日々欠かせない家事の最大のポイントは、腰痛を招く「中腰の姿勢」を避けること。伊藤医師は「台所のシンクの高さが身長と合っているか確認して」と呼びかける。
背が低い人は体が反り気味に、背の高い人は前かがみになりがち。そんなときに役立つのが踏み台だ。背の低い人は台の上に乗って、背の高い人は片足だけ乗せて片膝を緩く曲げ、料理や洗い物をすると腰の負担が軽くなる。野菜の皮をむくときも椅子に座ることをすすめる。「体のためにすべきラクもある。最近の冷蔵庫は取り出しやすい構造ですが、下段から食品を出すときは両膝を床につけましょう」。
掃除機をかけるときも、延長管でホースの長さを調整しよう。「縦型」を選べば体を起こして使える。床拭きも注意が必要だ。「雑巾がけでなくモップで拭けば膝を守れます」。
洗濯物を干すのも、かがんだり背伸びしたりすると腰に負担がかかるので工夫を。洗濯物の入ったカゴは台の上に置けば、かがまずに衣類を取り出せる。また、物干し竿は「腕を伸ばし切らない高さ」に調整しよう。洗濯物をしまう際、タンスの下の引き出しへ入れる場合は膝を床につけるほか、よく使う衣類を上段にしまう。さらに伊藤医師は、荷物の持ち方も指南する。
「買い物が多いなら“両手”に分ける。宅配便で届いた荷物を運ぶときは、慌てずに、ゆっくり腰を下に落として体に引きよせて持ち上げればぎっくり腰を防げます」
毎日の些細な積み重ねが、将来を左右する。
※週刊朝日 2013年5月17日号