冒頭の大学関係者は言う。

「MGCでは優勝した中村君だけでなく、4位にはやはり駒大出身で九電工の大塚祥平君(24)が入ったんですよ。箱根駅伝では08年に優勝して以来11年間勝てていないので、大八木監督の手腕に対する疑問の声が上がっていたんですが、『大八木監督はさすが指導力があるよね』とか『大八木監督は中村選手の夏の暑いシーズンの適正を見抜いていた。選手の適正を見抜く力は確か』と、学内では再評価されています」

 MGCでは、どの選手がどんなシューズを履いているのかも関心を集めた。

 中村選手が履いていたのは鮮やかなピンクの厚底シューズ。これはナイキの新作「ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」。

 MGC出場選手のナイキ社製シューズ着用率は高く、代表権を獲得した男女4人のうち、実に3人がこのナイキのピンクシューズを着用していた。

 ナイキの厚底がひとり勝ちの状況だが、ナイキと言えば、大八木監督の大口スポンサーでもある。

 大学幹部は本誌が昨年取材した当時、こう明かしていた。

「大八木監督の管理する口座にはナイキから年間1千万円の報酬が入っていましたが、それは大学学生部が管理することに変更して、学生部の事務部長の許可がないと引き出せないようにしました。大八木監督にとっては使い勝手が悪くなったはずです。それだけかと思っていたら、大学で調査したところ、それ以外にも、複数社との別の契約がポロポロと出てきたんです。最初、大八木監督は金額も言わない。『契約書もありません、口頭の約束です』と言っていた」

 大八木監督は駒大OBで、1995年に駒大コーチ、04年に監督に就任。08年の箱根駅伝で総合優勝を飾るなど15年間、名将として君臨してきた。選手に「男だろ」とゲキを飛ばすのが話題となり、「男だろ!!」と書かれた手作りのうちわもあるほどだ。

 スポンサー企業から大学陸上部や大八木監督に提供された資金は、延べで億を超える金額になるという。

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