数字は各種サービスが存在する可能性が50%となる人口規模を表している。つまり、この人口規模を下回ると事業から撤退する可能性が高まるということだ。例えば、地域医療の中核を担う「地域医療支援病院」は22万5千人、「有料老人ホーム」は5万2500人、百貨店は27万5千人が、存続か、撤退かの線引きとなる。
そこで本誌編集部では、国立社会保障・人口問題研究所が公表している人口予測のデータを用いて、2040年に主な各種サービスが消滅する可能性が高い自治体をまとめた。人口減少は、地方だけではなく、神奈川や埼玉など首都圏でも影響を及ぼすと見られる。人口が集中する東京でも、西部を中心にサービスの撤退が予想される。
すでに医療や介護、百貨店などが、人口減少の影響により撤退などを余儀なくされている。冒頭の行方市は、その一例にすぎない。多くの自治体でも同様のおそれがある。
地域の医療を支える代表的な病院として挙げられるのが各都道府県で承認される「地域医療支援病院」。病床数が200以上あり、救急医療を提供できる──など、いくつかの要件となる機能を備える大病院だ。
その大病院が、機能を維持することが難しくなる地域をまとめたのが【表2】だ。
【表2】地域医療支援病院
都道府県 市区町村 総人口
2015年 /2040年
北海道 北見市 121,226/89,921
岩手県 一関市 121,583/85,744
山形県 鶴岡市 129,652/89,194
茨城県 取手市 106,570/78,365
群馬県 桐生市 114,714/74,771
埼玉県 上尾市 225,196/205,344
千葉県 市原市 274,656/216,554
神奈川県 平塚市 258,227/219,375
厚木市 225,714/201,484
新潟県 新発田市 98,611/78,429
石川県 白山市 109,287/93,738
長野県 飯田市 101,581/80,056
静岡県 島田市 98,112/80,013
滋賀県 長浜市 118,193/96,642
岡山県 津山市 103,746/85,626
山口県 岩国市 136,757/97,470
福岡県 大牟田市 117,360/82,170
筑紫野市 101,081/95,831
佐賀県 唐津市 122,785/95,774
宮崎県 延岡市 125,159/89,544
人口約22万5千人の上尾市(埼玉県)、約27万5千人の市原市(千葉県)など首都圏も例外ではない。千葉県医療整備課の担当者は、昨年、県内のすべての圏域で地域医療支援病院を整えたばかりだとした上で、こう語る。